鬼束ちひろというシンガーを知らない人は、昨年末のFNS歌謡祭での彼女のパフォーマンスに初めて触れて驚いたに違いないと思う。
私自身もこの月光を歌う彼女を見て、完全復活を確信した一人です。
2000年に月光でデビューしてインソムニアというCDアルバムを発売しました。
今でも名盤として広く知られていることは有名ですよね。
しかしながらCDという音源で整理された音楽として聞く彼女とライブでの彼女では全く別次元の印象があります。
優れたアーティストほどライブで真価を発揮しますが、彼女はその典型だと思います。
床に突っ伏し拳で叩き、魂の全てを震わせて自身の心を引きちぎらんばかりの歌唱を聞くと
席から立ち上がれないほどの興奮と虚脱感を覚えます。
[template id="7293"]そんな彼女ですが精神の弱さなのか才能をさらに開花させることも無く、おおよそ楽曲の内容に合わない過激なパンクファッションにはしりメイクも変わって言動すらおかしくなってきて
それだけだと良いのですが彼女の持ち味であるハスキーなのにどこまでも伸びる高音、しっかりとした音程なども失われて多くのファンが彼女の元を去ったとも聞いています。
事実私も2009年に発売されたDOROTHY(ドロシー)を最後にアルバムは購入していませんでした。

2016年11月4日の中野サンプラザホールでの公演内容が素晴らしかったとファンの間では噂になってはいました。
そして12月のFNS歌謡祭での月光を聞いて鳥肌がたち”スゴイ やった復活や!”
今回のこの記事はこの中途半端なファンが再び彼女のアルバムを購入したということお話です。
でもそのCDが思っていたより安価で高音質だったので紹介したいと思いました。
CDは高音質SHM-CD
SHM-CD の説明
スーパー・ハイ・マテリアルCDという正式名称らしいですね。
ユニバーサル ミュージックとJVCケンウッドが共同開発したものです。
しかしビクター時代からこういうの好きですね。
いままでも素材を変えて高音質を狙ったCDを乱発しているように思うのですがね。
どれをとっても長続きしてはいないように思えます。
理由ははっきりしています。
製品化されたCDの価格が高く、しかもそれに見合うだけの音質が得られていないことにつきると思っています。
ビット数を変えてデジタルリマスリングなどの名称で付加価値をつけて販売していましたね。
でも買うのは一部のマニアだけ、そのマニアも音楽に違和感を覚えて買わなくなっていきます。
いまのハイレゾのハシリなんですが、ビット数を細かくしてサンプリング周波数を変えてやると
音は細分化されていままで団子になっていた音源が見通しよくはなります。
その反面、音は痩せてその時代が持っていたエネルギーまでが失われるように感じています。
そこの違和感からハイレゾには興味が無くなっています。
ハイレゾ=音が良い というのは間違いでメーカーの戦略にハメられているだけ。

しかしハイレゾが悪いとは思ってはいません。
新しい録音で最初からハイレゾで作られた製品は素晴らしく音が良い音源も多いです。
とくにDSDで録音された音楽はハイレゾ特有のエッジが取れてアナログ感を残しつつ
耳に優しいように思っています。
しかし旧音源をハイレゾ化したものはあまり良いものは少ない気がします。
でもこのSHM-CDは音は良いですね。

今回の鬼束ちひろのアルバムを聞いてそう思いました。
ピアノ、チェロ、パーカッションをバックにして歌っていますが、
まず驚くのはチェロの深々とした重低音が曲を支配していることです。
そしてピアノが打楽器だと認識させるような打音もスゴイし、パーカッションのリズムの刻みも心地良いです。
普通のCDではこんな音はまず聞けませんね。
これだけでも買う理由になります。
内容はCD2枚で22曲プラスDVD映像がついています。
これでAmazonでは3000円を切って販売しています。
はっきり言って激安ですよね。
もちろん復活というレベルを飛び越して、何が彼女に起こったんだというぐらいに声域も広く声量、音程もしっかりしている鬼束ちひろに生まれ変わっています。
ただ鬼束ちひろの魅力は危うさの上で構築されていた才能だと思うので、安定した精神状態がいつまで続くのか、その安定の中でこれまでのような楽曲を生み出せるのかは分かりません。
できだけ続くように祈っていますし、今のうちにライブにも足を運びたいですね。